シワやたるみの治療として行うヒアルロン酸注射(ヒアルロン酸注入)は比較的安全なものとして扱われています。
実際、わずかな時間でコンプレックスが解消され、とても満足度の高い治療と言えます。
しかしながら安全であると言われるヒアルロン酸であっても人に施す医療である以上必ずリスクを伴います。
ここではヒアルロン酸注入の安全性、危険性、リスク、副作用などについてお伝えしたいと思います。
ヒアルロン酸注射は受けられたほとんどの方にとってはシワを解消してくれる何ということのない注射という位置づけだと思います。
特にヒアルロン酸分解注射の存在はとても心強いものがあります。
どうしても結果が嫌な場合には元に戻すことができることはとても素晴らしいことです。
しかしながら全く副作用のリスクがない訳ではないのです。
以下に順にお伝えしていきます。
ヒアルロン酸は注射針を使って注入します。
細かな注入方法は様々ありますが、基本的にはターゲットとするシワや影に直接注射を行うことになります。
ですのでどうしても内出血が起きてしまう可能性があります。
出来るだけ細い針を使用したり、先がとがっていない針を使用することで内出血や痛みを防ごうとしますがそれでも針穴付近やときにシワ周辺に内出血が起きることがあります。
尖ってない針のことをマイクロカニューレといいます。
内出血が起きた場合、その色が見えなくなるまでに1~2週間を要することもあります。
ファンデーションで隠せますか?と聞かれることがありますが、強い内出血が出た場合はファンデーションでも隠せないこともあります。
マイクロカニューレの使用によりかなり内出血の頻度は下がりますが、それでも可能性はあります。
ヒアルロン酸注射は手術のように体に負担を伴うものではありませんが、ある程度ボリュームが入ってくるとその刺激で腫れることがあります。
たとえば片側の頬の前面に2~3cc程度注入すると3日程度下まぶたが腫れることがあります。
これは特に60代後半以上くらいの方で出やすいようです。
理由の一つには皮膚のゆるみが強く、わずかな腫れでも皮膚が伸びて腫れが派手に見えるからだと思われます。
また、目の下などの皮膚の薄いところに注入した場合には浮腫んだ状態が数日でることがあります。
その浮腫みが皮膚の張りとしてちょうどよく見えることもありますが、残念ながらむくみがひいた時が本当のヒアルロン酸注射の効果であると言えます。
そのような経過を踏まえるとヒアルロン酸注射を行ってその結果を評価できるまでには1~2週間程度かかると考えておいた方がよいです。
ヒアルロン酸注射に使われるヒアルロン酸は「硬い液体」というイメージがしっくりきます。
たとえば整形外科などで膝関節に注射をするヒアルロン酸はトロッとした感じの液体ですが、美容目的で使用するヒアルロン酸はそれよりも硬さがあります。
とくに法例線などの影を浅くするためのヒアルロン酸や顎を出すためのヒアルロン酸など、形を造りを目的としたものはある程度の硬さがないと効果がでないものです。
ですのた、効果を出すために塊として注入したヒアルロン酸は皮膚の上から触るとコロコロ触れることがあります。
これは異常ではなくヒアルロン酸注入の性質と考えておいた方が無難です。
このことを知らないと「シコリができてしまった。」などと考えることもありますが、それ自体は特に問題はありません。
どちらかというとしょうがないことという位置づけになります。
先ほど、ヒアルロン酸注入でときにコロコロした塊を触れることがありますとお伝えしました。
その触れるヒアルロン酸ですが、まれに本物のシコリが出現することがあります。
これはおそらく体がヒアルロン酸に反応してシコリができている状態であると思われます。
ヒアルロン酸注入を過去にお受けになられた方のヒアルロン酸を分解注射で分解する機会がありますが、何度分解してもなくならないシコリのような小さな塊を皮膚から触れることがあります。
おそらくこれが本物のしこりだと考えられます。
異物反応性肉芽腫とか異物性肉芽腫などといわれます。
異物性肉芽腫自体は放っておいても悪さはしません。
ただし、どうしても取り除きたいとなると切除になってしまいます。
ヒアルロン酸注入を受けて時間が経ったときに以前よりもヒアルロン酸を注入した部分が微妙に膨らんで見えることがあります。
特に多いのは目の下のクマやたるみにヒアルロン酸を注入したときにみられます。
注入して間もなくはよかったけど数週間から数か月して膨らみが目立ってくるということがあります。
その場合に気になればヒアルロン酸分解注射を行うことで解消されますが、あまり神経質にならない方がよい場合もあります。
目元や頬のボリュームを作る目的でヒアルロン酸を注入したときに笑うと目元や頬の膨らみが強調されることがあります。
また、法令線などの浅いところに注入をしている場合にも笑うと微妙な段差が出てくることもあります。
わざとそういう風に注入する訳ではありませんが、影を浅くするためにしょうがなく入れざるを得ないというのが現状です。
気になる場合にはヒアルロン酸分解注射で分解することになります。
極まれにアレルギー反応を起こすことがあります。数千人に一人?程度の可能性と言われます。
ヒアルロン酸は生体との相性は非常に良いですが、それでもやはり人工的に造っているものであるためアレルギー反応が出る可能性がゼロではありません。
当院でも数名、アレルギー反応と思われる症状がでたことがあります。
注入して数日から一か月くらいのときに赤く腫れてくるという現象が出現しました。
解決方法はヒアルロン酸分解注射による分解が望ましいです。
ほとんどの場合一回の分解注射で軽快しますが、一回で分解できていない場合には追加で分解する必要があります。
アレルギー反応が起きた状態を敢えて分解せずに放置した場合、どういう訳かそのまま落ち着くこともありましたが、また再度腫れてきたということもありました。
せっかく注入をしたヒアルロン酸ですがやはり将来のことを考えると分解注射で分解をしておいた方がよいと思います。
ヒアルロン酸注入で最も回避したい合併症は血行障害です。
注入したヒアルロン酸が主に細い動脈に詰まることによって血行障害が起こることがあります。
人の体はすべて動脈で血液が運ばれ静脈またはリンパ管を通って血液が帰っていきます。
その血液の供給経路である動脈が詰まってしまうとその先の組織に血液が行き届かなく血行不全の状態となります。
ごく軽度の場合は皮膚表面のビラン(皮むけ)程度で済むこともありますが、程度がそれなりであると皮膚の部分壊死が起こる可能性があります。
また、皮膚のみならず様々な様々な血行障害があり得、多くはありませんが国内および海外で失明の報告もあります。
皮膚の壊死では小鼻や眉間部(眉毛の間のところ)などが複数報告されている部位になります。
医師は注入時の皮膚の色の変化や尋常ではない痛みなどの兆候がないかなどを確認しながら注入を行っています。
血行障害を起こさないようにするために
などの工夫をしながら行うことになります。
万が一、血行障害が起こった場合には、あるいはその兆候が疑わしい場合にはできるだけ早く分解注射で分解をする必要があります。
また、点滴の投与もおこなうこともあります。
ヒアルロン酸を注入した部位が青っぽく見えることがあります。
浅めにヒアルロン酸を注入した場合に見られる現象です。
特に目の下のクマやたるみを改善する目的で注入した場合に見えることが少なくありません。
わざとそのように注入する訳ではなくできるだけ出ないように注入してもどうしても浅く注入しないといけない場合に出てしまうものです。
ファンデーションなどで気にならない程度のこともよくありますのであまり神経質になる必要はありません。
どうしても気になる場合にはやはりヒアルロン酸分解注射で分解するということになります。
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